アップルの第二創業にみる株価と時価総額 – 1024億ドル 12兆5000億円
iPod関連の本を読んで、どうしても書きたくて堪らなくなったことがある。
それが、このブログを立ち上げた理由のひとつでさえある。
Appleは、ずっとカリスマ=スティーブ・ジョブズの会社ではなかったし、ジョブズが復帰した数年は業績も世評も散々で、よくぞここまでという感慨一入(ひとしお)である。
さらにiPodも、ただのMP3プレーヤーでスタートしたに過ぎず、iTunesもソフト買収によるやっつけアプリに近く、ましてiTunes ストアにいたっては後付けもいいとこである。
よって、ジョブズのApple返り咲きや、iPodの市場初投入の、まさにその時、誰も今日の有様を予想する者はいなかったのである。
アップルの株価と時価総額
まずは、Google FinanceのAAPL – Apple Inc.のページ。
「Mkt Cap: 102.41B」に注目。時価総額が、102.41ビリオンドルとなっている。1024億ドルで、日本円にすると「約12兆5000億円」である。
スティーブ・ジョブズがAppleに復帰したのが1997年。
株価は、10ドル以下で倒産か売却かという為体(ていたらく)にしか見えない。おそらく市場も、静かに死を待つ状態と評価していたに違いない。
Dellのマイケル・デルも、Appleの蘇生なんてとんでもない、自分がCEOだったらとっとと身売りする、とジョブズをあざ笑ったらしい。
順風満帆ではなかったiPod
iPodの発売は2001年、Windows版のiTunesとiTunes ミュージックストアの公開も2003年である。
2004年には、第四世代iPod(クリックホイール式)、iPod Photo(カラー液晶)が登場。
2005年に、shuffleやnanoなどの新世代や、ビデオ対応と動画販売開始。
というように、iPodは誕生した瞬間からAppleに薔薇色の未来を見せてくれたわけでもない。
本田雅一の「週刊モバイル通信」:第348回 PC業界がAppleに学べること
… iPodは、Apple最大のヒット製品と言われているが、実は北米でiTunes Music Storeを開始し、その事業が軌道に乗るまで、事業としては全く期待はずれの結果しかもたらさなかったという。
Appleのボードメンバーの中でiPodの事業化に賛成していたのはジョブズ氏と福田氏のみで、発売後の不振が続き、毎回、2人はiPodで他役員から責め立てられていた。それでも成功を信じて当初から予定していた事業計画を変更しなかったからこそ、今のiPodがある。
そのほかに細かいところで驚いた事実は、iBookやPowerBookなどにはじまり、特にiMacやMacBook、Mac Proといった製品名の由来である。
「Macintosh」は代理店との契約に縛られていたので、あえて違う名称もしくは「Mac」とネーミングし、直売による利益率を大幅に引き上げたとのこと。
ということは、今後もAppleから「Macintosh」という名のパソコンは、永遠に出てこないということになりそうだ。
さて、今日のAppleの株価や時価総額をもたらした救世主は、もちろんiPodに間違いないだろうが、それでも目先の売れる儲かるという低レベルの経営もどきに左右されなかったジョブズの信念や哲学が女神を呼び込んだことも真実だろう。
デルとソニーの株価・時価総額
最後に、株価比較を。
潰れそうな会社で何やってんだと、Appleとジョブズを扱き下ろしたデル。DELL – Dell Inc.によると、2000年をピークに鳴かず飛ばずの日々が続いている。つまり21世紀は不振なのである。
Dellの時価総額は、62.02Bつまり620億ドル、日本円で7兆5000億円である。今では、Appleがはるかに上回ってしまった。
ジョブズは、Appleの時価総額がDellのそれを上回ったとき、マイケル・デルも完全に未来を予測できるわけではないと証明された、というメールを全社員に送ったとのこと。
そして、「20世紀のiPod」を作って売りまくっていたソニーも同様、株価のピークは前世紀末である。もちろん、作って売っているのはウォークマンだけではないのだが…
編集人は、非常にショックを受けた。何と、時価総額はAppleの半分ほどではないか!
時価総額は、57.16Bつまり571億ドル、日本円で6兆9640億円程度である。
日本の株式市場でも、時価総額は6兆9700億円であり、これが現在のソニーに対する評価なのである。
われわれSOHOにも、学ぶべきものは多い。