iPod課金問題 – アップルvs文部科学省文化庁著作権課
「私的録音・録画補償金制度」という不思議な法律があり、消費者はCDを買って著作権料を支払い、オーディオ用のCD-RやCD-RWなどにも著作権料を二重払いさせられている。
そして、著作権料を徴収する機関こそ悪名高きJASRAC(社団法人日本音楽著作権協会)であり、かつその理事には文化庁の官僚を中心とした天下りが連綿と続いている事実をおさえておかねばならない。
加戸守行前JASRAC理事長はそのものズバリの文化庁の著作権課課長補佐であったし、吉田茂現理事長も文化庁からの天下りである。
- 2005年zassi.net記事大賞の「ニュース報道部門賞」
- 〈企業レポート〉日本音楽著作権協会(ジャスラック)/使用料1000億円の巨大利権 音楽を食い物にする呆れた実態
週刊ダイヤモンド 9/17号(ダイヤモンド社)
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私的録音録画小委員会とアップルの激昂
内閣に知的財産戦略本部が設置され、文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会というものが活動しているが、どうやらiPodに課金しようと推進する会のように思える。
ところで、知的財産戦略本部が公開した資料の中に、アップルの強烈な文化庁著作権課批判が載せられている。
- 知的財産推進計画2007の策定
- 団体からの意見
概要については、アップル、文化庁を激しく非難–「私的録音録画補償金制度は即時撤廃すべき」 – CNET Japanを参照するといいだろう。
アップルの主張は次のとおり。
小委員である、土肥一史氏 一橋大学教授、松田政行氏 青山学院大学教授/ 弁護士の両名氏は事実誤認を繰り返している。
もし「国際基準」に日本が合致するのなら約95%の国がとっている「補償金制度廃止」が「国際基準」である。法律家である両名氏が意図的に著作権者団体の意向にそった事実無根の詭弁を弄するのは真摯な著作権行政を審議すべき同場所で不適切であり、国家国民を愚弄する存在であると言わざるを得ない。
上記の事実を事前に承知しながら両名氏を同委員会委員に意図的に任命した文化庁著作権課の責任は重大でありその結果責任を取るべきである。就中その中心的存在であった吉川晃前著作権課長、甲野正道現著作権課長の責任忌避は免れないと考える。
日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会、日本音音楽作家団体協議会、日本民間放送連盟が主張の拠り所にしているiPod等のハードウェア機器が権利侵害の元凶であるとする意見は事実無根である所か事実は寧ろiPodこそが有料かつ合法的なコンテンツ流通の最強の推進役となっている事実を認識すべきである。自己撞着を生じさせている日本の著作権者団体は非を認め傲慢不遜な主張を即時停止すべきである。著作権者団体の自己中心性こそが日本のコンテンツ流通を阻害し消費者の選択肢を狭小化させ、IT業界の生産性を棄損している主要因である。
文化庁著作権課に依る一方的な行政運営には理解不能である。徒に著作権者団体の意見のみを汲取り消費者、機器メーカーの立場は無視し続けている。アップル社を私的録音録画小委員会から閉め出し、欠席裁判で物事も決める閉鎖的な体質を持つ文化庁の典型的な隠蔽体質を良く表している。平成19年3月27日、文化審議会 著作権分科会私的録音録画小委員会にても多くの小委員会委員が補償金制度の必要性の根幹の議論提示をしたにも関わらず、作為的に「私的録音録画問題に関する検討の進め方(案)」から削除するなど鼻から「結論ありき」の審議会運営をする著作権事務局には真摯な姿勢は微塵も感じられず、もはや公平公正な著作権行政を運営する適切な省庁とは言い難く、速やかに著作権行政を他の省庁に移管することを強く望む。
結局、この文部科学省文化庁著作権課も、今大騒ぎとなっている社会保険庁と同じ問題のような気がする。
文化庁によるアップルの著作権侵害
実は文化庁が、自身の著作権関連サイトで、アップルの著作権を侵害するという失態をおかしている。
- ITmediaニュース:文化庁サイトにMac OS Xのアイコンが?
- ITmediaニュース:文化庁、Webを削除 「事実関係を調査中」
- ITmediaニュース:文化庁、アイコン無断使用認める アップルに謝罪
元ビートルズのポール・マッカートニー、つまりアーティストの意見は…
ついでに備忘録として
時事ドットコム:マッカートニーさん、ネット配信に軸足=ビートルズの曲も年末に-米紙
マッカートニーさんは、「職を奪われることを恐れている人たち(大手レコード業界)ではなく、ネットや若い人たちと一緒にやっていく」と述べた。
ネット配信で圧倒的シェアを持つ米アップル社のスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)については、「クールで情熱的。(アップルは)音楽を大事にしてくれる」と高く評価した。
つまり著作権問題は、アーティストの第一次創造者対消費者の係争ではなく、「職を奪われることを恐れている人たち」とそれ以外のすべての人たちとの闘争のことなのかもしれない。