iPhone革命 – Apple株価最高値更新(時価総額14兆円)と日本携帯電話の問題点

アメリカ時間の6月29日、iPhoneはいったん閉店後のApple Storeで午後6時より発売された。ニュースで全米各地の行列を見て驚いた。アメリカ人も並ぶんだね…

そして、色々な意味で画期的な商品であることが認知され、Appleの株価は132ドルという最高値を更新し、時価総額も1148億ドル(日本円で14兆1000億円)となっている。

三菱UFJフィナンシャルが14兆8千億円、NTTDoCoMoが約9兆円、NTTも8兆7千億弱である。

iPhone効果によるAppleの株価上昇

しかし株価の推移は、週末の発売日(2007-06-29)と週明け(2007-07-02)までは、その前と同じ水準だった。なぜ高騰したのだろうか?

Apple株価 市場最高値132ドル 時価総額1100億ドル 14兆円

早くから行列ができるほど人気が高いiPhoneだったが、それだけでは株価も大きく動かなかった。

iPhoneは4GBモデル499ドル、8GBモデル599ドルとなっている。利益率が55%であるので、平均で1台あたり300ドルの利益があると想定しよう。
最初の週末の売上推計は、低いところで30万台、高いところで70万台である。しかし、2007年の予想は全米スマートフォン市場2000万台中10%の200万台。

すると、2007年のiPhoneが稼ぐ利益額は6億ドル、740億円である。こういった予想が、株価を急激に押し上げたのだろう。

日本でiPhoneが買えるようになるか?

日本の優れた多くのブロガーには、日本のIT産業、なかでも携帯電話が相当悲惨に映っている。
世界で通用しない日本独自規格で、世界進出を企まない代償として、他国の企業が日本に参入できず安穏と日本人だけから稼ぐビジネスモデルである。

このため、iPhoneの日本発売は異常に困難であると騒がれている。

  • iPhoneが日本で発売されない理由 -閉鎖的携帯電話市場「日本」とGSM -[Di]

「パラダイス鎖国」「ブラックホールか桃源郷か」、そして「ガラパゴス諸島」

いわゆる「パラダイス鎖国」であり、ブラックホールとか桃源郷とか揶揄されている。

よくまとめてあるのが、My Image Ltd. – 日本は世界から隔絶されてていいの?悪いの?である。

ひどいものでは日本が「ガラパゴス諸島」に比喩されているのだ。
いやはや、参った。
現代を、黒船到来の幕末になぞらえることには馴染みがあったが、ガラパゴス諸島ときたもんだ。

iPhoneは、携帯電話ではなくインターネット端末である

さて、携帯電話の技術的なことを中心とした問題、日本独自規格とお役所との合体による世界的孤立なども大きな問題であるが、そんなことさえ些細なことと思える記事がある。

編集人の解釈では、iPhoneとはまず携帯電話というよりスマートフォンの一種であること、さらに通信はAT&Tの携帯通信網だけでなくWi-Fiと呼ばれる無線LANに接続するインターネット端末であるということである。もちろんiPodでもある。

よって、携帯電話業者以外が提供するかもしれない無線LANネットワークに接続して、Skypeで電話したり、Safariでブラウジングしたり、添付のメールソフトで送受信することが想定されるのである。
しかも、インターネット上の汎用性の高いツールが使えるようになり、ビジネスガジェットとして相当に利用価値が高い。

iPhoneによって、Appleは携帯電話業界、スマートフォン市場に参入したのではない。新しい市場を創造したのである。

iPhoneはITスキルが乏しい者でもかろうじて使える携帯電話ではないとイメージした方が正しい。それこそ携帯できるインターネット端末なのである。ただし、本当に携帯電話として使いたいときは携帯電話にもなるのはもちろんであるが。

よって、もし万が一iPhoneが日本で発売されある程度普及し、類似品まで出回るようなことにでもなれば、現在の携帯電話環境は相当に変化することが予想される。
インターネットもどきではなく、本物のインターネットが普及するようになるわけだから、ビジネスもユーザーも変化する可能性がある。

ガラパゴス諸島の絶滅危惧種のように、大陸の動植物によって駆逐されないことを願うのみである。

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