ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成 – ガラパゴス脳にならないために

池田信夫 blogでは、日本では珍しい鋭い言説を読むことができる。
それが、加筆編集されて出版されている。

日本の歪んだ経済活動を批判し、来るか来ないか分からないが、世界標準化された時に慌てないためにも、ひとりが一冊常備するべきビジネス書である。

ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成

ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成

Amazon.co.jp: ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成

実は本のタイトルがよろしくない。
世界の資本主義がウェブによって超克され、それを乗り越える新しい社会が出現するかのようなイメージでは間違ってしまう。

主にアメリカが主導しているITに対して、いかに日本が別の道を歩んでいるか。
また役人主導なる日本独自性こそが経済や技術のジャパン・オリジナルの温床になっており、自国市場を当座は守る代償として世界へも進出できない孤立した繁栄、著者の言う「パラダイス鎖国」が全編を覆っている。

素材は、GoogleやYouTube、Wikipediaや2ちゃんねるなどから、携帯電話やテレビ局、そして従軍慰安婦など、基調は井の中の日本人世界を知らずということである。

特に、長い間うまい汁を吸わせてもらっていた従来型のビジネスモデルが、次の時代の担い手によって破壊され、抵抗勢力の血みどろの反革命も空しく、遅かれ早かれ主舞台から退場させられるは必定という論である。

特に、真のクリエーターを蔑ろにして、著作物を食い物にしているJASRACやテレビ局などの著作利権屋どもに厳しい。
インターネットによって、旧態依然ビジネスモデルが破壊されているのに、無理やり20世紀型集金システムを強要している愚行が裁かれている。

なお付録の書評が、付録以上の価値がある。

読者には無論、異論や反論があるだろうが、まずは物を言うブロガーに喝采を送るべきだろう。
数匹の山羊で滅亡する絶滅危惧種、日本人の死に至る病「ガラパゴス脳」にならないことを願いたい。

«
»