『弁護士のくず』が『乗っ取り弁護士』の盗用と訴えられる – 続きが読めない!?

編集人は子供のころからアニメやコミックスが好きで、今でもビッグコミックとビッグコミックオリジナル(以下オリジナル)は毎号購入している。
ビッグコミックの「築地魚河岸三代目」とオリジナルの「弁護士のくず」を特に愛読している。両方ともに単行本を揃えているのだが、特に後者はテレビ朝日の「相棒」にも通ずる知的エンターテインメントではなかろうか。

その「弁護士のくず」の最新話「蚕食弁護士」が、少し前に盗用と訴えられたのである。

「弁護士のくず」と「乗っ取り弁護士」とネットクチコミ

弁護士のくず

オリジナルは、毎月5日と20日に発売。「弁護士のくず」は隔号連載なので、読者は月に1回読めることになる。ただし最近は、前後編あるいは前中後編とまたがる場合は連続して掲載されている。

「蚕食弁護士」は、1・2・3が三号連続して掲載され、一号おいて最終章4が先月の25日に掲載される予定であった。

さて、「蚕食弁護士」1・2・3が発表された直後に、内田雅敏氏が自著の「乗っ取り弁護士」の盗用であるとして、連載差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てたのである。

「乗っ取り弁護士」は内田雅敏氏が遭遇した実際の事件であり、内田氏の著作権侵害の根拠は、蚕食弁護士の話や登場人物が氏の著作に酷似しており、「蚕食」という言葉も著書で使っているから、ということらしい。

編集人は、著作権に関して一般日本人の岡っ引き根性とは距離を置いた考えを持っていることもあって、この内田雅敏センセイのお蔭でせっかく楽しみにしていた完結話が読めなくなるのか!と怒りを覚えたのである。

その時の反応は脊髄反射的に、では最終話が公開されなかった場合に備えて、盗用元とされる「乗っ取り弁護士」を確保してこちらを読むべきか、とAmazonにまっしぐらだった。

ところが、乗っ取り弁護士のカスタマーレビューを見て、買うのを思いとどまったのである。

Amazon.co.jp: 乗っ取り弁護士: 内田 雅敏: 本 カスタマーレビューから

筆者は,宮崎やかつての全共闘の同志と戦術会議や査問委員会を開くなど,終始全共闘世代特有のノリで話を進めるが,ひょっとしたら,それは本人たちの自己満足に過ぎず,周囲には迷惑にしかならない正義感の空回りではないかと感じた。

編集人の偏見だが、左翼系の弁護士はともすれば少年犯罪(特に殺人事件)の加害者の刑を軽くしようとするあまり、まるでこの犯罪者に成り代わって言い訳を並べ、被害者遺族の心情や世間の常識を逆なですることが多く見られ、加害者の人権を守って被害者の人権を損なうような、はなはだ嫌悪すべき所業である。

ともあれ、Amazonのレビューで想像できたのは、「乗っ取り弁護士」ではどうも依頼人が満足する結果にはなっておらず、多分「弁護士のくず」は違う結末を用意するのではなかろうか、ということだった。

よって、「乗っ取り弁護士」を読んでも知識は身につけどストレスがたまるだけ、さらに突っ込んで、この内容であれば「弁護士のくず – 蚕食弁護士」の最終話は無事掲載されるであろうし、著作権侵害訴訟も不発に終わるだろうと推察できたのである。

その推察どおり、「蚕食弁護士」4完結話を先週読んだところである。

小学館ビッグコミックオリジナル編集部から

2008-03-05追記

本日発行のオリジナル(2008年3月20日号)で「読者の皆さまへ」が掲載されている。

  • 出版差し止めの仮処分が発令されなかった
  • 実際の事件をもとに創作した
  • 「蚕食」は、同事件を扱い「乗っ取り弁護士」より先に出版された『突破者それから』宮崎学著:徳間書店 (1998/12)ですでに登場

最後に訴訟を起こした内田雅敏氏の別の本、『懲戒除名』著:太田出版 (2001/09)も参考文献として紹介されている。

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