『パラダイス鎖国』著者のブログから二題 グローバルな視点による日本の弱点

今回は憂国のエントリー。

業務に落ち着きを取り戻しつつありますので、Firefoxにため込んだブックマークを整理しながら、『パラダイス鎖国』出版で一段と高名になった海部美知さんのブログから思いつくままにエントリーを。
といっても、相当過去の記事ではありますが。

日本人の優秀性を謳歌する馬鹿馬鹿しさ

私はいつもは二階で仕事をしています。

タバコやコーヒーなど一服したくなったときに降りて、リビングで休みながらテレビを見るわけです。

前回のオリンピックまでは2位が指定席だった日本シンクロデュエットが、北京では3位に終わりました。
テレビによると、アテネ以降中国が台頭し、さらに日本は負け続けているとのこと。その理由として、今まで日本で指導してきたコーチが中国に呼ばれて手腕を発揮しているからと。

また、今回2位になったスペインも日本人コーチらしいですね。

そこで、「日本人」の優秀性やら、日本人コーチ同士のしのぎ合いなどと、おもしろおかしく報道しているわけです。

私からすれば、公務員や政治家などを除いて、優秀な日本の人材が海外に流出している現在の状況がどこかおかしいと嘆くべきではと思うのですが…
要するに、凄い人は日本に留まるのは馬鹿馬鹿しいのではないでしょうか。

海外で活躍する日本人に対し、出国前に日本国民が徹底的に支えたわけでもなく、独力で日本国内で頭角を現し独力で海外に出て能力を発揮して、日本人であることのメリットなんてあったのかどうなのか。

これに関連して、手放しで日本人礼賛している脳天気さの批判を。

ばばぁの繰言だけど、「ポケモンは自然に売れたんじゃない」という話 – Tech Mom from Silicon Valley

こっちに住んでアニメ適合年代の子供たちと生活を共にしていて、全体のコンテクストから見たその影響度合いとかが、相変わらず日本で過大評価されているような気がしてならない。

ポケモンは、優れたコンテンツだからアメリカでも支持されたわけではなく、先駆者が地道に土壌を開拓し続けた結果であること。
また、日本が世界に誇るとか頓珍漢なことを言っている間に人気も失速して、土台を支える裏方仕事が蔑ろになり、褒美だけを頂戴する不埒者が増えて台無しになりつつあるということでしょう。

日本人が日本人のままですばらしいのではなく、また日本人の遺伝子がことさら他民族よりも優れているわけでもなく、外国で活躍している場合は、その個人が優秀であったに過ぎない、あるいは認められるまでは人目に止まりにくい先人の地道な努力があるということです。

こういうところの、評価の公平性や客観性を著しく欠いているところも、今の日本が低迷している理由のひとつではないでしょうか。
要するに、状況を正しく分析できてないということです。

家族は家族、社会は社会…でいいのだろうか

その昔、母親がくも膜下出血で倒れたとき、私は一か月ほど有給休暇を取って病院に寝泊まりしたことがあります。
社会貢献するべき年代が、一か月も社会から離脱していたわけです。

表面的なヒューマニズムはいいですから、家族に起こった事故事件が、その家族オンリーで問題解決を強いられる日本の現状に大いに不満があるのです。

あくまでも私個人の意見ですが、私が痴呆症とか寝たきりにでもなった場合、息子や息子の嫁が付きっきりになることは避けたいと思っています。息子の家庭の崩壊にもつながりますし、有用な社会的労働力を、こういったことに占有することがおかしいからです。
せいぜいお金を貯めて、息子たちには迷惑をかけないように願っている次第です。

それよりも、テレビによく出る女性の社会進出とか"先進的な"評論家が、下記のようなことを発言したのを聞いたことがありません。

チャドルの問題じゃぁないだろうが・・・ – Tech Mom from Silicon Valley

日本だろうがアメリカだろうが、ワーキングマザーにとって一番切実なのは、「私が仕事していることによって生ずる、家庭内の労働力不足をどう解消するか」ということだ。

アメリカも、移民の安い労働力供給があるから、成り立っている、と思う。日本のマスコミ論調では、いつも「保育園」と「お金」の話ばかり、あとは上記のような「伝統がどーの」といった精神論ぐらい。「家庭の労働力不足」はどーするんだ。わかってんのかな???

妻とか母とかが社会に打って出るとき、夫とか父とかが家事を協力すれば、で済ませるなよってことですね。

分業とか、生産性とか、もっと組織だった国家の大計として論ずるべきことでしょう。

結局、日本人には組織が苦手ってことかなと思っているところです。

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