はじめの一歩を踏み出そう ベンチャー・起業・支援 三題噺
最近、このブログに関するメールをいただくことが多いです。
しかも、独立することの難しさを思い知ったとか、私がかなり大変な思いをしてここまで来たんだなと実感したとか、どちらかというと皆さん引いた感じですね(笑
今回は非常に前向きな話題で進めたいと思います。
『はじめの一歩を踏み出そう』
知る人ぞ知る小規模な会社の起業家のバイブルのような本です。
私も、ある意味バイブルにしています。
会社を興そうと決意したときに、Amazonのお勧め商品で見つけて、買って読みました。
そして、実際に会社を作る際に一番役立った、カルチャーショックを受けた、経営の軸を固めることができた、そういう社長指南書となったのです。
会社の作り方といっても、たとえ1円で一人ではじめるにしても、役所に提出する書類の作成法などの類の本などは、実際はどーでもいいものなんですね。
大事なのは、興すことでなく、続けること、大きくしていくことです。
そろそろ本題に入りましょう。
起業家 vs. 職人、管理者
この『はじめの一歩を踏み出そう』で学んだことのひとつは、社長は、職人でも管理者でも駄目だということです。起業家でなければいけないということです。
簡単に、職人は今日に生きて、管理者は昨日に生きて、起業家は明日に生きると。
何かの技術に秀でた人が、それでビジネスをしても、職人のままでい続けたら必ず会社は潰れるそうです。あるいは、潰れないまでも身の丈に応じて小さく縮小しないと維持できない。
また管理者は、本質的に新しいものを産まず作らず、できるだけ自分の采配ができるように、昨日と同じことを今日も明日も繰り返すことを望むから、成長も発展も、そして創造もないのです。
小規模の企業でも、イノベーションは必要ですし、これが実行可能なのは起業家だけということになります。
人との交渉が得意とか、数字に強いとか、それは経営のトップに要求される能力ではありません。
それは部下にやってもらい、社長は社長がやるべきことに専念するべきなのです。
起業家の視点による組織
もっともショックを受けた言葉は、『一流企業は名もない会社であったころから、一流企業のような経営をしていたからこそ、一流企業になれたのである。』との一節です。
取り上げるべきことはいくつもありますが、目標の数値化や、業務のマニュアル化など、脳が沸騰しそうになりました。
簡単に説明しますと、一人ではじめようと会社は大きくなるときに人も増えるわけです。しかし、増えたあとで会社の方針を立てたり、入ってきた人材に合わせて組織を作ったり、未熟なうちは体裁にかまっておられない、そういうことが会社を潰すというのです。
極端なことを言えば、経理が得意な人を雇い、大きくなったらその人を財務部長にする。そうではなく、最初から財務にたけた人に部長(副社長)のポストで迎え、そして当面は経理もやってもらうことだろうと理解しました。
イノベーションによって主力販売商品を変更していくことは必要なことですが、誰かから持ってこられた商材が儲かりそうだと飛びついて、この販売促進に邁進するということも駄目です。
要は、軸は最初からできている、その軸に合わせて雇用し、商品を開発し販売する。逆であってはならないのです。
会社が、自分一人であろうが、大勢であろうが、目標が明確に数値化されていて、その達成の手順も示されている。小さくても大きくても、組織のプロセスとゴールが誰にも分かるようにしておくこと、そのプロセスを実行しゴールに到達するのに必要な人材だけを雇用すること、そのように理解しました。
そしてこの本を読んで受けたカルチャーショックの極めつけは、組織図と事業領域や役職の明確化です。
実際、笑われること間違いなしでしょうが、私はこの本に従って会社の組織図を作っています。
わが社は、今のところは私と嫁さんの二人ですが、嫁さんは専務や常務ではなく副社長にしています。
アルゴリズム社では、社長の補佐をする副社長ということではなく、それぞれが事業担当副社長となるようにしています。
社長業の補佐は必要ないですから、専務も要りません。また常務もこの役員の職務的機能が理解しにくいです。
本業のSEOも、e倶楽部というWeb版教則本でマニュアルに近いものを作り上げていますが、次は雇用した師範が使えるようなSEO指導マニュアルを作らねばなりません。
そしてSEO塾師範を束ねSEO事業を推進するのが、SEO担当副社長になるのです。
詳しく書けば切りがありませんので、ここで終わりますが、とにかく『はじめの一歩を踏み出そう』は暗記するほど読み込むべき本であることをお伝えしておきます。
検索するなり、書店で探すなりしてみてください。
「ベンチャービジネス」の幻想
次は辛口で有名な池田信夫さんのブログから。
「ベンチャービジネス」の幻想
そもそもベンチャービジネスというのは和製英語で、正しくはstartup、起業家という意味ならentrepreneurである。この言葉だけでなく、起業家について一般にひろく信じられている迷信は多い。
たとえば
- アメリカは他の国より起業家が多く、その数は増えている
- 起業家の多くはハイテク産業で企業を立ち上げ、その収益率は高い
- 起業家は若く、新しい技術をもち、夢を実現するために独立する
- 資金はベンチャー・キャピタルから潤沢に供給される
- ベンチャーが経済成長の最大の原動力だから、政府が起業を支援すれば成長率が高まる
以上は、すべて誤りである。
いやはや、なんともですね(笑
このエントリーのポイントは、やはり起業家というのは重要であること、さらに会社を興そうが自営ではじめようがイノベーションをはらんだビジネスモデルこそが問われるべきで、政府系などをはじめとする金融機関が有利な条件で融資しようがどうしようが、未来のない事業に金を突っ込んでもその会社も金融機関も共倒れするしかないという趣旨のようです。
起業家はビジネスモデルを作り、投資家はビジネスモデルを正しく評価する。そういうことですね。
ですから、引用したアメリカのベンチャー幻想がその通りだったとしても、ビジネスモデルが作られそれを評価する仕組みがある程度あるから、アメリカはやはりベンチャー支援ができていると。
シリコンバレーと日本の違いはソーシャル・キャピタルの違い?
さらに、池田さんのブログの係り受けとしてもうひとつ。
Kousyoublog | シリコンバレーと日本の違いはソーシャル・キャピタルの違い?
例えば何かしらビジネスモデルを思いついたとして、自身に特段の技術力がない、あるいは一人で作るにはちょっと大き過ぎるときに、一緒に起業してくれる技術者を探したり、いざ起業しようとしたときに後々付き合う司法書士、税理士、社労士、弁護士もろもろの専門家を選んだりってどうしてるの?
技術者、研究者、ビジネスパートナーを探す、事務をアウトソーシングする、専門家に相談する、と言ったネットワークが起業家個人のネットワークに強く依存していて、それが無いとなかなか起業まで辿り着かない、あるいは起業してもなかなか成長させられないって側面あるんじゃないかなぁ。
そうなんですねぇ。
私も、会社設立を決意したのが5月、それから自分でできる1円株式会社という内容の本を買ったり、会計や税務の本を揃えたり、いろいろ自己啓発してみましたが、最終的には、地元の税理士・社会保険労務士がそろった会計事務所に顧問契約を結びました。
アルゴリズム社は「特殊支配同族会社」と規定され、会社の利益だけでなく、私や嫁さんの個人所得が絡み合って、課税されます。
こんなバックオフィスをいつも気にしていては、本業が栄えません。
よって、日々の会計処理や経費・投資については自分で考えますが、最後は餅は餅屋に頼もうと見切りました。
そのほかにも、手はじめとして3サイトを外注しました。
もうひとつ、会社運営のeコマースサイトも年内でどこかに発注する予定です。
私は『はじめの一歩を踏み出そう』で経営の軸をある程度確立させましたので、事業計画や利益目標などから費用対効果をはかって、外注するものはすべてそうするようにしたのです。
来年はいよいよ、SEO塾師範の雇用とフランチャイズですね。