阪神タイガース2008の事例 カリスマ指導者の功績と組織力の限界
タイガースファンにとって悪夢の2008年ペナントレースが終了しました。
まだCSやそれを勝ち進んでの日本シリーズが残っているのですが、その前に岡田阪神の成績を振り返っておきましょう。
今年82勝の阪神は去年だったら優勝できたのにね
さて、2008年セ・リーグのペナントレースにおける、読売ジャイアンツと阪神タイガースの成績は次のとおりです。
2007年に優勝した巨人の成績は、80勝63敗1分でしたから、去年だったらタイガースは優勝です(笑
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よって、「たられば」の話では、タイガースがもう3勝して85勝だったら文句なしの優勝だったことになります。
あるいは、巨人戦であと1勝しておけば、あとは他の中日・広島・横浜・ヤクルトのどこかから1勝すれば、これでペナントレースを制することができたことになります。
なかでも、終盤の巨人戦における7連敗が痛かったですね。
しかし、岡田監督のあの投手交代がとか、新井が負傷欠場しなかったらとか、金本や鳥谷があそこでヒットを打っていればとか、「たられば」を言い出したら切りがありません。
負けたときとはそういうものでしょう。
最後に、ジャイアンツとタイガースの、チームごとの対戦成績を貼っておきます。
阪神タイガースは、巨人以外にはすべて勝ち越しています。なかでもドラゴンズ戦が突出していますね。
逆にジャイアンツは中日戦で負け越し、広島にも負け越し。横浜とヤクルトがずば抜けて巨人優勝に貢献していることが分かります(笑
ともあれ、読売ジャイアンツは、お金で選手をそろえたとか、横浜・ヤクルトが協力したとか、わけの分からないひがみ根性に陥ることなく、今年の結果を謙虚に受け止め、さらに来年に期待することにしましょう。
岡田彰布監督の成績
さて、星野仙一氏のあとを受けた岡田監督の5年間の成績は、次のとおりです。
年度 | 順位 | 勝利 | 敗戦 |
---|---|---|---|
2004 | 4位 | 66 | 70 |
2005 | 1位 | 87 | 54 |
2006 | 2位 | 84 | 58 |
2007 | 3位 | 74 | 66 |
2008 | 2位 | 82 | 59 |
阪神タイガースは情けないことに、優勝したのは、1962年と1964年(藤本定義監督)、1985年(吉田義男監督)、2003年(星野仙一監督)、2005年(岡田彰布監督)と、これだけしかありません。
川上哲治監督と長嶋・王の巨人V9時代は、阪神もほぼAクラスでジャイアンツに花を添えていましたが、85年の優勝以降野村監督の時代まで、ほとんどがBクラスで、しかも最下位ばかりと、暗黒時代に苦しみ抜いていたのです。
今年も含めて、ほぼAクラスかつ優勝争いに加わっていることは、岡田監督の功績以外の何ものでもありません。
ところで、広島カープの4番と言えば、まず山本浩二、そして江藤、金本、新井、そして栗原ですが、FAで江藤はジャイアンツに、金本と新井はタイガースに移籍しています。
逆に言えば、抜かれても抜かれても、広島は次から次とリーグを代表するような4番打者を供給し続けているんですね。
投手もそうです。いつも凄いエースが何人も登場しています。
よって、わが阪神タイガースも、このような広島カープの人材育成力を見習って、本当の黄金時代を築き上げて欲しいと切に願う次第です。
結局、人で戦う競技ですから、あてにしていた人がいなくなったらお終いです。
そうならないようにするために、固定的な主力メンバーに頼らずに、層を厚くしなければならないのです。
岡田監督の辞任で暗黒時代の再来か?
JFKはともかくとして、金本、下柳、矢野はみな40歳。このアラフォーに勝ち負けを依存している状態は好ましくありません。
若手がベテランの故障でチャンスをものにしない、レギュラーを脅かす存在にならない、つまり阪神は若手が思うように育っていないのです。
だがしかし、これはすべてが1軍監督の守備範囲ではないでしょう。
人材の発掘とか、若手の育成とかは球団があげて取り組むものです。
安易な投資による補強に堕落せずに、育成力を極めていただきたいですね。
ともあれ、一部のファインの心ない声で、岡田監督への批判がありましたが、むしろ彼が辞めることによって阪神がふたたび低迷する可能性が出てきました。
フロントも、外様の監督(野村氏)を招いたときと同じように、人気球団ということにあぐらをかかずに、もう一度イノベーションを起こして欲しいです。
つまり、阪神タイガースを指名したくなるほど魅力的な球団にし、才能を見抜く目を持つスカウト陣の確立、2軍とかファームとかを1軍への人材供給装置として充実させること、これしかないでしょう。