Yes We Can オバマ大統領に見るアメリカ国民というイノベーションのエコシステム

オバマ大統領の誕生は、他国民の私から見ても劇的で感動的ですね。

アメリカで黒人初というのは事実ですが、今回は白人か黒人かということは、あまり争点にならなかったように思えます。

人種問題や支持政党、中絶や同性愛といった倫理観、そういったイデオロギーは棚上げにして、目の前の不況や収入減といった生活をなんとかして欲しい、という切羽詰まったものが背景のような気がします。

思想ではメシを食えない、ってことです。

Yes We Can 夢を託すのではなく、夢を叶える

下図は、バラク・オバマのポスターです。

「Yes We Can」とは、歌まで作られるほどの名ゼリフであり、演説用のキャッチフレーズに過ぎないのかもしれません。

バラク・オバマのYes We Canポスター

しかし、私を大統領にして欲しいというのではなく、われわれでアメリカを変えようというニュアンスは伝わります。

オバマに投票した人たちは、彼に何かをやって国をCHANGEして欲しいだけでなく、彼を選ぶ行為そのものがCHANGEの意志決定というわけです。

孤立する保守アメリカとProp 8

白人の知識人さえも、共和党支持の中所得層さえも、オバマを選択したのならば、それはブッシュで頂点に達したアメリカの保守主義が崩壊したのではという見解もあります。

歴史的瞬間 – Tech Mom from Silicon Valley

テレビの解説者は、「伝統的共和党の価値観」にしがみつく層は縮小しており、マケインも「共和党の候補」になる前は、そうでない層にアピールする候補者だったのに、「共和党候補」になってこうしたコアの支持者に擦り寄るようになってから、かえって苦しくなった、と解説していたのが印象に残る。

このブログエントリーには、Prop 8が通ったのを考えると、実は全米が保守化して、その中でオバマが部分的な反保守をパフォーマンスしただけではと、おもしろいのですが頓珍漢なコメントが寄せられていました。

私の解釈は、「思想ではメシを食えない」ところまで追い込まれた、不況が最大のオバマの追い風だったと思います。

また、同性婚を認めないカリフォルニア州条例案については、グーグルとProposition 8(Prop 8) モノ言うシリコンバレー企業の登場を参考にしていただいて、私は、他人の婚姻の自由を奪うことに賛成多数であったことと、オバマに投票した人が61%であったことは、矛盾がないのではと判断しています。

経済と思想は別物ということでしょうし、アメリカらしいのは、自分で考え支持・不支持の意志を表明しているからでしょう。

カリフォルニアのProp 8の問題点は、その前の最高裁の判決で同性婚を認めたことはともかく、他州の居住者にも適用したことが大きかったのではないでしょうか。

他人の婚姻の自由を制限することはよくないけど、自分たちが住んでいる町によそ者の同性愛者たちが殺到することは勘弁してよ。といった感じかもしれません。

思想的な背景よりも、どんなジャンルでもイノベーションを起こせるアメリカ国民というエコシステム

どの国民、どの人種も、本来は保守的で、既得権を守ろうとすることは当然であり、他方で、このエスタブリッシュメントに立ち向かう勢力も、必ず存在しています。

ただ、イノベーターが孤立無援とならず、経済的にはベンチャーのエンジェル、政治では今回のオバマ大統領の誕生と、アメリカの国民性の別の部分として、イノベーションを起こし支えるエコシステムも厳然と存在していると見なせないでしょうか。

インターネットを通じた献金や、ボランティアによる草の根の選挙運動など、多くの人々を巻き込んだCHANGEの旋風だったようです。

でも、程度や頻度は違っても、日本人も歴史的にイノベーションをやっているんですねぇ。

直近では、敗戦後の植民地時代、その前は明治維新と。

税金中心に考え動く政治家や官僚、それにたかって公共事業をチョーダイする業者はダメですけどね。

今がチャンスでしょ。

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