「消費者行動論体系」田中洋著 これを読まずしてマーケティングを語るなかれ

ここ最近、読書によるイノベーションによって、感動しつつ、恐怖を感じているところです。

恐怖とは、この年になってもまだ知らない重大なことが多いこと、しかもそれがビジネスに深く関わることだけに、新しい知識を得る喜びよりも、よくもまぁ今まで知らずに無事来れたなぁというところです。

特に、「マーケティング」にからむものを売りにしていなくてよかったと、安堵しています。
つまり、巷のSEM(検索エンジンマーケティング)とか、Webマーケティングとかは、ほとんど、いい加減で出鱈目と思って間違いないでしょう。

田中洋著『消費者行動論体系』

この本は、主にアメリカの消費者分析に関して、歴史的、体系的に網羅した、理論的な総合カタログのような趣です。というか、百科全書ですね。

ともあれ、日本以外では学問は実業の友ですから、こういった理論書を敬遠していてはビジネスにはなりません。

特に、「マーケティング」を掲げる職業の人たちが、この本を読んでいないとすれば、あるいはこの本に書いてある年代別のマーケティング論にある程度当たっていないとすれば、四股をふまずに相撲を取る、受け身を稽古せずに柔道をやる、そういうことになるでしょう。
つまり、「パチモノ」間違いなしというわけです。

ですから、私はSEO専業でSEMを商材にしていなかったこと、Webマーケティングとか大それたことを謳っていなかったこと、それをラッキーだったと言っているのです。

消費者行動論体系 田中洋著

例えば、テレビのCMについても、その効果に対する評価は、時代とともに変遷しているとのことです。

よってテレビCMに限らず、今自分が確かだと思っているある「法則」が、実際は1970年代のもので、今は批判されている、あるいは効果は疑わしい、ということもあるわけです。

最新では、行動経済学やニューロマーケティングなども登場しており、ただ、Yahoo!検索で上位表示されておればインターネット・ビジネスはいけるだとか、楽天に出店すれば云々とか、そういった売れているから結果オーライで生き延びることができると思ったら、大間違いということになるのです。

ECサイト4モデル式 Google Analytics 経営戦略 が第2のバイブルに では、サイトの性格や商材などによって、少なくとも4つのモデルにECサイトは分かれ、それぞれで運営の戦略が違っていることに驚きました。

つまり、たった1つの成功例でもって、どれもこれも同じように取り扱うことの愚に気づかされたわけです。

そして、消費者行動論体系 では、こうすれば売れる、消費者はこのように考え行動する、といったことも、欧米では精力的に学問の対象となり、かつ学問であるがゆえに検証と批判と継承がなされ、そして「マーケティング」が太く長い歴史を持っていることにショックを受けるのです。

ブランドを確立している、ブランド・エクイティが十分な企業と、ブランドが認知されていない企業では、広告も誰にどのように打つのか、まったく違っていると書かれています。

打ちのめされませんか?

とにかく、モノの売り買いが、科学になっているのです。

3回くらい読み返さないと、頭に入りきらないです(泣

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