インサイト実践トレーニング:桶谷功著 これを読んで実行すれば必ず売れるようになる
とうとう、マーケティングの方法論のほとんどを手に入れることができました。
まともな商品やサービスなら、非常に確率の高い販売促進の秘訣をゲットしたのです。
また、まともでない商品やサービスでも、それなりに売れる方法でもあります。
つまり、こうすればお客さまに買っていただける、そういう魔法(のようなもの)を知ったということです。
あとは、この方法論をベースに、具体的に実践し、検証し、効果測定をしながら、完成させるのみです。
マーケティングとブランドと「インサイト」
マーケティングを、歴史的、理論的に研究している過程で、ブランドの突出振りに気づかされました。
つまり、ブランドがあるとないとでは、消費者の買い物の過程が大きく違ってくるということです。
また、ニューロマーケティングからのfMRIの調査によっても、ブランドは特別な脳の働きが見られるようです。
さらには、ブランドによって、活性化される脳部位も違ってくるそうです。
ということで、当面はブランドを制することによって、マーケティングを制する、つまり販売促進の大きな力になると言えるでしょう。
逆に、ブランドを持っていない商品やサービスは、いつでも一からスタートして、ブランドが獲得している力を毎回積み上げなければ、売れないということになります。
ともあれ、ブランドはマーケティングの中のひとつであるということです。
「インサイト」の発見
さて、マーケティングからブランドへと研究をシフトさせていきましたが、さらに新しい用語にぶつかりました。
「インサイト」です。
このインサイトを検索しても、ホンダのハイブリッドカーばかりが出てきます(笑
つまり、現時点ではマーケティング用語としては定着していません。非常にマイナーな術語となっているのです。
ところで、インターネット視聴率に関しては第一人者である衣袋宏美さんのブログは、「Insight for WebAnalytics」となっており、アクセス解析の「インサイト」です。
またSEOの渡辺隆広さんのブログ記事で目に止まったのですが、「Google Insights for Search」を紹介していました。
Google Insights for Search、検索タイプ別のトレンド分析が可能に :: SEM R
オンライン小売店舗が商品検索にフィルタして消費者の購買傾向を把握したり、メディアがニュース検索にフィルタして生活者の関心事を把握するといった使い方も可能になる。
また、入力した語句が分類されうるカテゴリを提案する機能も追加されている。
Googleも自社が提供しているサービスの各種検索で、ユーザーの「インサイト」を見せる、というのです。
消費者の「インサイト」が、ブランドでもマーケティングでも鍵となる
さて、英語の「insight」は、洞察や、洞察力という意味です。
insightの意味 英和辞典 – goo辞書
1. 物事{ものごと}の実態{じったい}[真相{しんそう}]を見抜く力、洞察力{どうさつりょく}、眼識{がんしき}、見識{けんしき}、識見{しきけん}◆【形】insightful
2. 洞察{どうさつ}、明察{めいさつ}、物事の本質を見抜くこと
あとで紹介する宇佐美 清氏の『USAMIのブランディング論』では、
インサイトを一言でいうと? ターゲットの「本音」のこと
僕らの間では<インサイト=本音>は意識の下に埋もれていて、本人にも分かっていないことが多いと考えられている。
またその次に紹介する桶谷功氏の『インサイト実践トレーニング』には、こうあります。
人が思わずモノを買ったり、行動を起こしたりする心のホットボタンを、「インサイト」と呼びます。
そして、桶屋氏によれば、インサイトと対をなす用語が「プロポジション」です。
同じく『インサイト実践トレーニング』には、
インサイトを見つけ出したら、そのターゲットが思わず動く、心のホットボタンを押す戦略的な提案を考え出します。それが、プロポジションです。
プロポジションは企業側からの戦略的な提案であり、主張です。
とあります。
ということで、マーケティングにおいて、またブランドにおいて、非常にキーとなる用語、概念であることは分かりますよね?
私の考えでは、ブランドは消費者と対であり、消費者のイメージ、つまり消費者の頭や心の中にあるということです。
企業側が発信するにせよ、です。
企業ブランド、商品ブランド、サービスブランド、というように、ある会社や商品、サービスがブランドとなるのですが、あくまでも消費者が認めないことにはブランドになりません。
そのブランドをつくるプロセスは、
- ある商品やサービスについて、買って欲しい消費者を想定し
- その消費者の、考えていること、困っていること、拒んでいること、などのインサイトを抽出します
- そのインサイトに対して、こちらはどのように問題解決できるのか、提案や主張を並べます
この消費者のインサイトと、商品・サービスのプロポジションが、うまくマッチングしたときに、売上となるのです。
もちろん、マッチングの度合いが高いほど、あるいはインサイトの元の消費者の層が広いほど、売上は高まります。
これが量的に質的に、高まり広がり、持続し加速していったならば、ブランドがつくられると言えるでしょう。
理想とする消費者をターゲットとし、そのインサイトを十分にすくい上げ、ドンピシャのプロポジションを出すことが、意図的で計算されたものであるならば、当然、商品・サービスを提供する企業側は、最初からブランドをつくる行動を起こしているわけです。
USAMIのブランディング論:宇佐美 清 著
この本は、わが地元の府中商工会議所有志のWeb勉強会メンバーから、先日紹介されました。
100ページ足らずの薄い本ですが、中身は非常に濃いです(笑
カラー刷りで図も多く、ブランドが的確にまとまっており、理解しやすくなっています。
ブランドを考える、つくる、そういった人には必読の書でしょう。
「思わず買ってしまう」心のスイッチを見つけるための インサイト実践トレーニング:桶谷 功 著
こちらは、『USAMIのブランディング論』をAmazonで買うときに、偶然に見つけた本です。
タイトルが、少し邪悪な感じですね(笑
そしてやはり、魔性のマーケティング本でした(笑
これは、とても凄い本です。
人が思わずモノを買ったり、行動を起こしたりする心のホットボタンを、「インサイト」と呼びます。
いま流行りの行動経済学を彷彿させます。
決定的なのは、ニーズとかウォンツとか、AIDMAとか、さらにはブランドとか、そういった言葉とか中身とか全部お払い箱にしてしまうような、強烈な販売促進の方法を学ぶことができるのです。
この本を読めば、「マーケティング」とか、「ブランド」とか、とっつきにくい、気どった、よそよそしい、そういった頭でっかちの理屈と決別できるのです。
大事なことなので、もう一度繰り返します。
知識は実業の友、この本を読んで書いてあることを実行していけば、かまえたマーケティングとか、できもしないブランドとか、そういった煩わしいことに悩んだり時間をつぶしたりすることなく、たちまち、商品やサービスが売れるようになるのです。
ツールを使った実践トレーニング
インサイトを発見するために、いろいろなツールが活用されます。
消費者になりきります。会社や商品などを、擬人化したりします。
例えば自分を、自社および競合(複数)が開いたパーティの招待客として、想像してみます。
どんな案内状が届くか、誰を誘いたいか、服装は?、受け付けや会場や集まった人々、主に交わされている会話、料理などなど。
ゲーム会社の場合は、「みんながゲームをしている星」と「誰もゲームをしない星」を、絵に描きます。
私も、いくつか実験してみましたが、書かれているツールを使ってみると、今まで考えてやってきたことの愚かさが浮き彫りになって、鳥肌が立つくらいですね。
皆さんも考えてみましょう。
自サイトと競合サイトのユーザーになりきります。
そのユーザーは、
- 男性? 女性?
- 年齢は
- いつ?
- どこ? 会社から? 自宅から?
- ノートパソコンそれともデスクトップ
- 自分専用? 家族共有? 社員共有?
- お気に入りから? 検索から? ポータルやモールを利用?
- 他のサイトも見ている?
- などなど
私も、『羊たちの沈黙』ではないですが、ユーザーの「プロファイリング」はそれとなくやってきていましたが、この本のツールは非常に巧妙で画期的です。ターゲットとする消費者やそのインサイトが、本当によく分かるようにできています。
企業がインサイトに取り組む場合の、詳細な注意点もあります。
まさしく「実践トレーニング」になっているわけです。
現場をよく知っている証拠は、どこのダメ会社にもありそうな、「ありもしないインサイト」がわいて出る場面を描いて、
ティーン向けの栄養補助食品なら、製品特徴の「栄養」を活かすために、「ティーンは、栄養をきちんと摂ることをカッコイイと思っている」とでっち上げてしまうわけです。
これほど極端な例であれば、ティーンになりきらなくてもおかしいとわかるはずですが、実際に仕事でかかわっていると気づかないことは多いのです。「ひょっとすると、ティーンも栄養のことをちょっとは気にしているかも」、いやいや「栄養がないより、あったほうがいいぐらいは思っているだろう」、きっと「栄養のことは学校でも習うのだし、ティーンだって栄養を摂るべきだと思っているに違いない」というように、どんどん都合よくインサイトがつくられていくわけです。
けっして笑うことなかれ。製品から発想していくと、往々にして起きることなのです。
とにかく、これほど笑える使える本はめったにありません。
著者が、現場の人、販売の人であり、頭でっかちではなく、数々のみずからが出遭った事例を踏まえていることが、本当によく分かります。
これは、絶対に買いですね。
買わなければ、先に買って読んだ競合に出し抜かれますよ(笑
さてあなたは、この本を「思わず買ってしまう」心のスイッチが入りましたか?