新型インフルエンザ「対策」で学習するダメなリーダー像
ユニクロ(ファーストリテイリング)のCEO柳井正氏は、まるで戦争のように、瞬時の判断ミスで組織が壊滅しかねない指揮官の苦悩を語っています。
参照:『一勝九敗』ユニクロのファーストリテイリングCEO柳井正氏著
私も、「トレードオフ」や「冗長化」、そして「リスクマネジメント」など、つねづね危機感を持って、会社を経営しています。
大衆ならば、何らかの事象に対してパニックを起こしてもいいでしょう。得体の知れないものに、意味もなく騒ぐことが大衆の仕事ですから…
しかし、特に国家の首脳クラスであれば、柳井氏以上の能力と緊張感が要求されるのではないでしょうか。
そして経営者でも管理職でも、この度の新型インフルエンザ珍騒動を他山の石とすべきでしょう。
麻生首相や、舛添厚労相だけでなく…
われわれ医療のどシロートが云々しても、門外漢の無責任放言になってしまいますが、専門家も言っています。
「グダグダ」駆動型の問題解決手法 – レジデント初期研修用資料
政府が「まだ感染の拡大を阻止する時期だ」なんていう立場を崩していない中、大阪と神戸の人たちは、「もう感染は蔓延しているから、発熱外来に患者さんを集中させても意味がない」、という認識を表明して、「蔓延期」のやりかたに舵を切った。
グダグダではあったけれど、結果として日本は、だいたい1週間ぐらいの経過で、世界レベルの、常識的なやりかたに軟着陸しつつある。
方法論として総括するなら、これはもう、リーダーの失政であって、ここまでに至る過程は「最悪」の一言だったけれど、課程の評価をすっ飛ばしていいのなら、「外国に右にならえ」をするわけでなく、地域ごとの試行錯誤を促した帰結として、ボトムアップのやりかたで世界レベルの解答にたどり着いた、と解釈してもいいのなら、「グダグダ駆動」の問題解決というのは、案外「あり」なんじゃないかなと思った。
要点をまとめると、次のとおりです。
- 新型インフルエンザも、季節型インフルエンザと同じ対応を
- それが世界の常識
- 日本政府の上層部は、世界のマネをせず、オリジナルに過剰反応し続けた
- 特に橋下知事をはじめいわゆる現場は、新型インフルエンザに対して、世界と同じような常識的な対応に踏み切った
- 無能な政府をおいてけぼりにして、有能な、あるいは常識的な地方自治体が、日本を正解にたどり着かせた
「グダグダ」駆動型の問題解決手法では上記引用に続けて、政府に限らずあらゆる組織の「上司」という表現で、無能なリーダーを炙り出しています。
橋下知事の決断は、やはり一種のトレードオフだったわけで、弱毒性の新型インフルエンザの感染拡大を阻止することと、学校や企業などを封鎖する経済的ダメージと、どちらが重いかということです。
気をつけなければならないのは、リーダーの資質に欠けている人は、すぐに人命や安全や健康と、経済活動とを天秤にかけるのはおかしい、と騒ぎます。特にサヨク。
健康であっても、安全であっても、お金がなかったら死ぬんですよ。
こうして、無能な人が新聞やテレビや書籍で与太を飛ばしている最中も、ソーシャルメディアの時代は、有益な情報を得ることができるようになっています。
つけ加えるならば、今回の不況に関しても、「百年に一度」と煽って税金を、旧来型公共投資や、天下り延命へと湯水のように浪費しています。
自分自身が、よきリーダーを目指すとともに、くだらないリーダーをつぶすことも、われわれの役割でしょう。