宮沢洋一広島7区落選に見る自民党症候群 広島県1勝6敗 ビジネスの他山の石

今日(2009-09-02)の読売新聞に、このたびの衆議院選挙結果に関して、興味深い記事が2つありました。

ひとつは宮沢洋一の落選について。

彼が世襲したのは叔父の宮沢喜一元総理の地盤。祖父の宮沢裕も衆議院議員であり、実に約80年も続いた宮沢家三代の王国が崩壊したと。

もうひとつは、1955年以来はじめての第一党からの転落で、逆に55年間、世の中はどんどん変わっていったのに、自民党だけは変わらなかった、変えられなかったと。

宮沢洋一の落選の弁は、「民主党政権で日本はむちゃくちゃになる」「どうせ長くは持たない」と

結局、自らの力で選挙を戦ったことがないし、一度も大臣などの要職に就いたこともないから、テレビで語られた敗戦の言葉も腹立たしかったですね。

まるで、対立候補に投票した有権者が、愚か者と言わんばかりでした…

例えば、広島4区の自民党元幹事長の中川秀直あたりは、落選したときには有権者の審判を素直に受け入れ、かつ自身に票を投じたり、応援してくれた後援会などへの心からの謝罪があり、すがすがしかったです。

もっとも、惜敗だったわけで、ぎりぎり比例復活当選しました。

このあたりは、政治家としての器の差というか、言葉の軽重というか、対照的です。

参照:広島 小選挙区 : 総選挙2009 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

今日の読売新聞の記事ですが、宮沢洋一落選のポイントは次のとおりです。

  • 世襲してきたから、地盤とやらを支える後援会も高齢化し、若い世代の支援者の開拓も怠ってきた
  • かつ、洋一の若い秘書らは先代の喜一の時代からの支援者も放置して、御輿に担がれる殿様選挙が当たり前となっていた
  • 自民党のお家芸である利益誘導の実績も、現時点でほとんどの企業が売上ダウン、利益減となっており、選挙運動に協力しても見返りを期待できない状況だった
  • とどめとしては、かたちだけの福山市在住で、本人も嫁も一年中東京暮らしで、地域をないがしろにしてきた。「元々よその人」と

要は、政権交代という風があったものの、133,871票を獲得した和田隆志に対して、111,321票と2万2千票もの差が開いたのは、風だけじゃないだろうということです。

さらには、次の選挙の時にも、宮沢陣営の弱点が克服されていなければ、復活は難しいでしょう。

結局は、選挙を一部の人たちで私物化してきたツケが回ってきただけです。

隣接する岡山県と比較しても、道路整備は遅れていて、自民党センセイの本領も発揮できないていたらくです。くだらない道路掘り返しの公共事業はよくやっているのですが…

次は、ぜひとも別の自民党候補を、本物の政治家を立てて欲しいものです。

さてこれを、候補者を商材、有権者をユーザーとして置き換えると、背筋が寒くなってきます。

  • 固定客がいるからと、新規客の開拓を怠る
  • お得意様、常連客ばかりを見て、少額購入者や一見客などをないがしろにする
  • 自社・自店の売りが、現時点で決定的なセールスポイントとはなっていない
  • ユーザー目線を忘れている、顧客の立場から離れている

人の振り見て我が振り直せ。ですね、まったく…

自民党は既に死んでいた…

失敗の本質―日本軍の組織論的研究

テレビで山本一太が言ったことですが、

  • 自民党は本当は森喜朗総理の時に終わっていた
  • ただ、小泉純一郎という強烈なパーソナリティが、突然変異として出現した
  • 4年前の郵政選挙で勝ったことも異常

と評論していました。

彼の主張は、人がなんと言おうと構造改革をより一層進めることが重要で、小泉以後それが中途半端になってしまったと。

私も、ほとんど同じ意見です。

自民党をぶっ壊すと言って総裁選を勝ち抜いた小泉という現象は、国民にまるで政権交代が起こったかのような期待感があったと思われます。

郵政選挙も、国民が投票によって候補者や政党に審判を下すという、政治参加を促進したはずです。

だから、ソ連のゴルバチョフのような役回りだったんですね、小泉純一郎は。

それに、構造改革自体が郵政民営化にごまかされましたが、官から民へということで、今の民主党の官僚統治の破壊と同じことでしょう。

日本国民は、ある意味で現在の閉塞感を脱したいと、ずっと願っているような…

 

さてもうひとつの読売新聞の記事です。

上記の著者のひとりである、戸部良一氏の寄稿です。

今回の自民党の敗北は、共著である「失敗の本質」で発したメッセージ、つまり「成功体験が次の成功を締め出す」という典型的な事例になるだろう。

日本陸軍は、日露戦争というまぐれの成功体験によって、敗戦による軍解体まで「白兵銃剣主義」というお経を唱えて、数多くの兵士を見殺しにし続けたわけです。

戦車や火砲など戦争が近代化しているのに、あいかわらず精神主義的が支配し、根拠のない「桶狭間」とか「鵯越」とかを手本としたわけですよ。

今でも、くだらない企業の、くだらない営業部長は、似たような寝言を言ってますが…

自民党は、

  • ソ連を中心とした社会主義国家群の解体によって冷戦が終結し、自由と資本主義の守護神というイデオロギーの優位性を喪失
  • 中選挙区制から小選挙区制への選挙システムの変更にもかかわらず、旧態依然とした後援会という集票マシン万能と信じ続けた

など、時代認識がなかったということです。

過去の成功体験が、現在と未来の成功を阻害する、というのはイノベーションのジレンマでも取り上げられていましたが、まさしく、今業績が上がらない会社は、こういった自民党症候群に陥っていないか、反省するときではないでしょうか。

民主党に投票した人は、なおのこと、深く考えるべきことです。

老人が若者を食い物にしている

なお、自民党症候群の最大の原因は、小沢一郎氏の“本当の功績” – Chikirinの日記 に書いてあるとおりなんでしょう。

つまり、「老害」です。

年寄りが若い人たちの未来をつぶしているのでしょうね…

何にせよ、4年前の小泉チルドレンと称された軽薄者やおばさんたちと違って、今回の小沢ガールズ・チルドレンは、相当まともに見えます。

かつ、Chikirinの日記にあるとおり、選挙の翌日に駅で当選のお礼を述べている姿はすがすがしくも、恐ろしい感じでした。

自民党も、小泉進次郎など若くて生きのいい人たちを輝かせるように、解党的出直しをしていただきたいものです。

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