2009年に読んだ本ベスト10 著者は成毛眞、本はブラック・スワンがベストか
情報の入手経路は、実は偏っているのだが、振り返ってみると、充実した読書体験の一年だったと言える。
それにしても、私はゆえあって読売新聞の読者なのだが、読売の書評で買った本、買いたくなる本がないということが、感慨深い。
2009年の1年間に私が読んだ本ベスト10
2009年の1年間に読んだ本の中で、私のベスト10を書いておく。
『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず』北 康利 著 - 独立自尊のイノベーターの伝記 | 1円株式会社の社長ブログ from SEO塾/アルゴリズム社
福沢諭吉の学問のすすめは、学問によって知識を高め、権力評価し批判するスキルを身につけることにあった。
明治維新の前後で、文化文明の断絶の中で、大儀を持って生き抜いたすばらしい伝記。
社長であるからには、こういった非連続的な時間の中で、哲学を持って業績を打ち立てるべし。
そして世界に不確定性がもたらされた―ハイゼンベルクの物理学革命: デイヴィッド リンドリー, David Lindley, 阪本 芳久
「そして世界に不確定性がもたらされた」 人間は真理に到達することができない | 1円株式会社の社長ブログ from SEO塾/アルゴリズム社
経済学や株式投資の不確実性は、ある意味でハイゼンベルクの不確定性をベースに、人間の知の無力さをうったえているようだ。
すべてに正解があるとか、かならず真理は存在するとか、人間への過信を打ち砕き、21世型知への最初の関門となる不確定性原理。
こうして社長は、リスクはもちろんのこと、不確実性までも想定して、事業を行うべし。
本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫): 成毛 眞
「本は10冊同時に読め! – 本を読まない人はサルである!」成毛眞著 | 1円株式会社の社長ブログ from SEO塾/アルゴリズム社
マイクロソフトの社長時代にWindows 95の空前の販促を行った人だが、彼の大衆蔑視が心地いい。
社長としてやっていくなら、読書は必須。
もっとも、10冊同時に読んだことは一度もないが…
メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書): ノーム チョムスキー
「メディア・コントロール」ノーム・チョムスキー著 テレビや新聞と戦争・侵略・虐殺 | 1円株式会社の社長ブログ from SEO塾/アルゴリズム社
権力は、警察や軍隊の暴力装置だけでなく、テレビや新聞によっても、大衆を支配洗脳できるし、アメリカではそうしてきたという恐ろしい話。
そもそもが、情報源そのものがバイアスがかかっていないか、社長は、事実かネタか真偽の判断力が問われる。
思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書): 郷原 信郎
思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本:郷原信郎著 コンプライアンスの暴走 | 1円株式会社の社長ブログ from SEO塾/アルゴリズム社
テレビや新聞で、賢そうに、偉そうに唾を飛ばしているMCやコメンテーターがロクでもないということ。
さらには、そいつらに騙され続け、一緒になって、おぼれた犬を叩きに叩き抜く日本国民の愚かさに警鐘。
社長としては、正義を貫いて倒産するか、衆愚を想定してぼろ儲けするか、そういった闇のマーケティングもあり?
任天堂 “驚き”を生む方程式:井上 理(著) | 1円株式会社の社長ブログ from SEO塾/アルゴリズム社
最近のYahoo!ファイナンス – 株式ランキング(マーケット関連)によると、パナソニックが三洋電機のTOBによってかろうじて任天堂の上に来ている。
だがしかし、依然としてソニーよりは時価総額は高い。
アホな経済誌は、やや低調な任天堂を、それ見たことかと叩きたいのだろうが、この会社は日本企業にはないDNAを持っているが気がする。
大丈夫だろう。少なくとも、テレビ局や新聞社よりは、大きな未来がある。
トランプや花札と同様の商材を売り続けて小売店か零細企業で終わるのか、失敗を百も二百も重ねても、大きく大きく事業を伸ばすのか。社長のセンス次第か。
クラウド グーグルの次世代戦略で読み解く2015年のIT産業地図: 小池 良次
クラウド 小池 良次 (著) アプリケーション・データセンターによるクラウドビジネス | SEO塾ブログ
検索とかつぶやきとかではなく、クラウドがインターネットビジネスの本命だろう。と思わせる本。
GoogleやTwitterがどうのこうのではなく、そういった周囲の変化に対して、不確実性に襲われて衰退することもあり、躍進することもある。
何が勝つトレンドかは、やはりつまみ食いをしておかなければ分からない。
クラウドを知らなければ、社長失格?
悪の遺伝子―ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか: バーバラ・オークレイ, 酒井 武志
悪の遺伝子 遺伝子は脳を設計し、人格や感情や思考や行動のアルゴリズムとなる!? | SEO会社の社長ブログ
成功する悪人というテーマが怖い。
こういった遺伝子を持つヤツが、国家権力を握り、多くの血を流すらしい。
そこまではいかなくても、大衆は悪の腐臭を好むようだ。
多くの社員、多くの顧客を動員するならば、このような行動経済学的書は、社長として読んでおくべきかも。
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質: ナシーム・ニコラス・タレブ
ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質: ナシーム・ニコラス・タレブ | SEO会社の社長ブログ
この本は、いろいろな意味で2009年のナンバーワン。
読めば分かるし、読んでも分からない人、読む気にならない人は、それまで。
一流のビジネスマンは、リスクや不確実性は、日常用語。
昨日と同じ今日はないかもしれないし、今日と同じ明日が来ないかもしれない。ということで、知を極めてこその、不確実性の恐怖を知る。
それが、ブラック・スワンなのである。
大人げない大人になれ! :成毛 眞 (著) ある種の運命を変える一冊かも | SEO会社の社長ブログ
この本を読んで、あらためて軍事の学習の大切さを思い知った。
ちなみに、米軍の最高のインテリジェンスは、ロジスティクスの完璧さらしい。
リアルな戦争とは、そういうことなのだろう。
中国の楽毅(諸葛亮孔明が模範とした昔の軍師)も兵站を重視していたような…
2010年に向けて
とにかく、この一年間に思ったことは、なぜGoogleのような会社が日本から出てこないのか?
ユニクロ(ファーストリテイリング)や任天堂は、なぜ一般の日本企業と違うのか?
金融問題がトリガーとなって世界的な不況に陥ったわけだが、金融に関しては日本はまったく無傷であったにもかかわらず、それどころか世界の先進国でも日本の落ち込みは突出しているのだが、これはなぜか?
今は、国民性か、歴史的刷り込みか、日本人には戦略がないということが、骨身にしみている。
もうひとつは、同じ根っこだろうが、リスクを考えるとか、まして不確実性を政治や経済や事業で取り込むとか、論外なこと。
だから、これに気づけば、つまり戦略を持ち、不確実性をプロテクトできるビジネスモデルを作り上げれば、勝てる。独り勝ちできるのである。