龍馬伝総集編で坂本龍馬がどれだけの歴史的人物だったのか疑問が

年末にNHK大河ドラマ『龍馬伝』の総集編が放送されました。

今回は視聴者からのリクエストというか、投票の多かったものをまとめたらしいですが、家族や友人や女性との日本の歴史にはどうでもいいエピソードだらけで、方向性の定まらない坂本龍馬の生涯だった印象を受けました。

私は、個人が歴史を動かすのではなく、歴史が相応しい人を選んで行動を起こさせるという、ヘーゲル・マルクス的な歴史哲学に洗脳されていますから、坂本龍馬とか宮本武蔵とかの大衆的な人気者はあまり評価できません。

「大政奉還」とはなんぞや?

ふり返れば第四部あたりでは、脚本家が「大政奉還」に呪われて、最後は武力による政権奪取を志向する長州の木戸孝允や薩摩の西郷隆盛・大久保利通たちとも、平和主義者・坂本龍馬が敵対していた感がありました。

つまり、明治維新の三傑は、暴力主義者として描かれたのです。
彼らの望みどおりに日本で内乱が起これば、そのすきを狙った欧米列強の植民地にされてしまうと…

維新の主役たちは、ただ武力倒幕のみに熱中して、政権奪取後は知らぬ存ぜぬ、ではなかったはずです。

織田信長の「天下布武」、武力闘争によって日本をつくりなおすという号令があったからこそ、戦国時代も幕が引かれたのではないのでしょうか?

また、大三菱を起こした岩崎弥太郎も、龍馬の意志を継いだとか、わけが分かりません。

特に、危険な京都に意味もなく長滞在して暗殺されましたが、本人の危機管理が市川海老蔵並みであったことや、彼を守ろうとする組織もなかったことで同時代人のあつかいも分かるでしょう。

ともかく、もとから好きではなかったのですが、大河ドラマのお蔭で、坂本龍馬が大嫌いになりました。

とにかく、平和的な解決、ソフトランディングはきれい事ではありますが、全員が良くなって、誰も損をしない、そんなことがあるはずがありません。

新しい時代は、古い時代に得をした人が貧乏くじを引かされたり、全財産や生命まで失わないと、やって来ないと思います。

今の日本も、必要なのは大政奉還ではなく、官軍による賊軍の殲滅でしょう。

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