群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法: ピーター・ミラー

年末年始に買いあさった本(CDやDVDなども)を、少しずつ消化しています。

さて、凄い本です。知的エンターテインメントと実利を兼ねそなえた、おそらくマイベスト10に今から入ると予想される本でしょう。

群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法: ピーター・ミラー

群れのルール 群衆の叡智を賢く活用する方法: ピーター・ミラー

まず、訳者あとがきから引用します

著者のピーター・ミラーは、企業経営者やコンサルタントといった、いわゆるビジネスの”プロ”ではなく、『ナショナルジオグラフィック』誌のベテラン編集者として活躍している人物だ。

本書には、虫や鳥たちが集団で成し遂げる驚異の成果が、多数紹介されている。一匹だけでは四五秒前の出来事すら覚えておけないアリが、コロニー全体では、周囲の環境変化に合わせて、一万匹以上のメンバーの最適な人員配置を割り出している。ハチの群れは、わずか数時間の「議論」を通じて、数ある候補地の中から最適な巣作りの場所を選択する。そして何千、何万もの個体から成る魚や鳥の群れは、まるで単一の頭脳を持った生命体のように一瞬のうちに態勢を変え、天敵の襲来をかわしている。

そして、このさまざまな生物の群れを長期にわたった観察し記録し、アルゴリズム化してビジネスに役立てていると。

第1章:アリの自己組織化
第2章:ミツバチの群衆の叡智
第3章:シロアリの間接的協業
第4章:鳥の適応的模倣

特にロジスティックスやマネジメントなどに、生物の群れをシミュレートしたプログラムを応用しているそうで、アメリカは他国の人間だけでなく、アリやハチや鳥にも学ぶ知的マンティコアぶりには驚きます。
さらには、インテリペディアなる国家的諜報機関向けSNSを、立ちあげて効果を上げていると書いてあり、ひっくり返りますね。

適応的模倣をマーケティングに応用する場合は、美人コンテスト力学となり、速く多く選ばれたモノが最終的に一番になる不条理も書かれています。
メディアをコントロールすることによって、ある程度は売上をつくることも可能になるわけです。

適応的模倣をほとんどポジティブなトーンで展開する第4章では、個体は、自己防衛するなら、群れに従うのが最良の選択、という趣旨なのですが、

バッタや金融破綻などを例に、我が身だけ助かりたいという、エゴイスティックな個体が群れ化して、他の個体を破滅させる話が、第5章です。

マーケティングで数多くの顧客を獲得する、規模の大きい会社をつくる、そういった方は必読の科学書でしょう。

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