成毛真のマーケティング辻説法 マイクロソフトで活躍し、そして見限った理由など
久方ぶりの書評にして、三週間ぶりのエントリーです…
今、積んどく本も10冊を超え、いつも読書するリビングの書棚の数年前の本たちを廃棄して、片付けたところです。
そして、アマゾンで買ってすぐ読んだ本、というか、成毛眞氏の言説を聞きたくてたまらなくなったのです。
成毛真のマーケティング辻説法
成毛真のマーケティング辻説法 (日経ビジネス人文庫): 成毛 真, 日経MJ: 本
この本は、2002年6月刊行の『成毛式 実践マーケティング塾』を改題し、巻末に「いま、『フツーの生活』が新鮮」を追加したものということです。
この文庫の奥付は、2005年3月1日。
つまり、ドッグイヤーの時代からすれば、かなり古いものとなりますね。
私が買った本は、第1刷発行のままですから、売れてもいない?
まあ、成毛流の瘴気たっぷりで奇矯な話は耳目を集めず、さらに、事業を進めるうえで大いに役立つ言説は、広まらない方がこちらにとっても好都合、ということにしておきましょう(笑
それにしても、マイクロソフト帝国のダース・ベイダー的役割を果たしたはずですが、それを勲章や恩給として一生食っていくというような愚者ではありません。
それどころか、年10%以上の成長を続けることは困難とMSを見限って、日本では異常な分野の、投資・コンサルティング業をはじめています。
また、同じようにアメリカMBAを振り回すような個人輸入の軽薄な評論家の類とは一線を画す本物の経済人で、日本市場をしっかり見据えて、外国の真似をするとか、私はMSでこうやった勝ったとか、鼻につく言説もまったくありませんでした。
マーケティングとは市場(マーケット)を攻略するための意志や戦略を指す。
こういった言葉から、はじまります。
これを読み飛ばすと、この本を読む価値もなければ、読む資格もないと言えるでしょう。
マーケティングを、販売促進の手段、つまりは戦術とは見なしていないわけです。「戦略」であり、方針決定の「意志」ということです。
最初から、常識をひっくり返されますね。
マイクロソフトにあってアップルにないもの
ボーイングやクライスラーは大統領をセールスマンに使った。
ははは。
これに対して、マイクロソフトは「政府の保護や後ろ盾なしで」世界的企業になった、と賞賛しています。
日本企業も、政府の庇護を受けず、政府に邪魔されず、頑張れ!
使い勝手で先行していたアップルコンピュータにはなく、マイクロソフトにあったもの。それこそがマーケティングだったと、私は思う。その中心となったのが、ビル・ゲイツの右腕であり、ビルとは大学時代からの友人でもあるスティーブ・バルマー(現CEO)だ。
私も、一ユーザーとしては、コンシューマーとしては、消費者としては、Macの方がいいです。
しかし、仕事となるとWindowsをベースにせざるをえません。
そして、検索会社としては、Googleはともかく、Yahoo!よりはMicrosoftの方が将来性があると、ずっと思ってきました。
なぜなら、Yahoo!にはなく、Microsoftにあったマーケティングを感じていたからです。
実際は、とにかく後ろ指を指されようがどうしようが、もの凄い市場支配欲と、営業への注力の姿勢ですね。
Windows 95のマーケティング費用は、当時の金額で200億円ほどだったらしいです。
辻説法の数々
さて、以下簡単に成毛氏のマーケティング論をピックアップしてみましょう。
保守的な人材は遠慮なく切る。
イエスマンに囲まれた経営者は相手にしない。
マーケティングは戦争だ。
失敗したら命を取られる覚悟でやれ。
同じ失敗を繰り返す幹部を追放しろ。
何が達成できたら、今やっているマーケティングは勝ちなのか?
後半の、日本市場を対象とした、成毛流マーケティング論は、かなり意外で、MS育ちを微塵も感じさせない凄いローカル色豊かでした…
あとは、買って読んでくださいね。
いやいや、自己啓発などせずに、今のままを続けて私の邪魔をしないでください(笑